「赤いテープの思い出」

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り感謝申し上げます。

小学校低学年のことでした。
図画工作の授業で画用紙を丸くして両端に簡単な細工をしたミニ望遠鏡を作りました。
覗いてみても何が見えるわけではありませんが、ワイワイ楽しく作りました。
作業終了時に先生から「みんな同じものを作りましたから、何か自分の目印をつけておいてください」と指示が出て、それぞれにマークや名前を書きました。
私も何か適当な目印を付けた記憶があります。

すると遠くで作業している友人の望遠鏡があまりにも美しい出来栄えであることに気が付きました。
友人は目印としてそばにあった赤いビニールテープをくるり一周巻いていました。
ただそれだけです。
真っ白い画用紙で出来た望遠鏡に巻き付けられた一筋の赤いテープ。
今でもその美しさを覚えています。
30センチほどの長さの望遠鏡に巻かれた、たった一筋の赤いビニールテープ。
単純なことなのにこれだけ美しく感じるのは何故なのか。
その時は気が付きませんでしたが、多分テープを巻いた位置が絶妙に良いバランスだったのでしょう。
また巻き方も丁寧にきちんと巻かれていたことと思います。

私はどうしてもその美しさが腑に落ちず、持ち帰った望遠鏡に自宅にあった赤いビニールテープを巻いてみました。
ちっとも美しく感じずにもう一か所巻いてみました。
そのうち私の望遠鏡は真っ赤なテープでぐるぐる巻かれ残念な姿になってしまいました(苦笑)。

彼とはその後疎遠となりましたが、風の便りに芸大を卒業し、ステンドグラスの工房に勤めていると聞きました。
小学校の図画工作で作ったミニ望遠鏡。
才能はすでに開花していたのでしょう。
今でも赤いビニールテープを見るたびに彼の作った美しい望遠鏡を思い出します。

創立117年目に入る中央工学校、皆様今年もどうぞよろしくお願いいたします。