「三五荘 令和大改修 ⑯」

三五荘屋根改修を行う建設会社から、「幣串(へいぐし)」が見つかったと連絡があり、確認してきました。「幣串」とは木造建築の上棟式に用いられるもの。
「幣(へい)」とは、御幣(ごへい:神主さんがもっているもの)・紙幣(しへい:お札)のように、貴重なものを表わす漢字ですが、神様に捧げるものの総称だそうです。
三五荘が軽井沢に移築されたのが1935年(昭和10年)。
そのため持主の原田六郎氏が三五荘と名付けました。
中央工学校に伝わる資料には、その前年に工事が始まり、上棟式を行ったのが1934年(昭和9年)12月2日と記録されています。
今回発見されたのはそれを裏付けるものであり、神事のあとで屋根裏の棟木(むなぎ:赤矢印の位置)に取り付けたものと思われます。
「祝上棟・昭和九年拾二月吉日・原田六郎」と記されています。
いったん丁寧に取り外し保管されていますが、竣工にあたり元の位置に戻す予定です。
そして再び人目に付くことなく、三五荘と共に長い時を過ごすのでしょう。
遠い存在であった原田六郎氏を身近に感じ、写真を撮る手が震えました(苦笑)。

「三五荘 令和大改修 ⑮」 – 中央工学校 (chuoko.ac.jp)

撮影:令和5年5月25日