「青空の記憶」

 昭和39年(1964)の秋の事。
 生まれも育ちも東京の私は当時6歳。姉と二人で歩いていたところ、耳をつんざく突然の轟音にしゃがみ込むほど驚きました。見上げた空には編隊を組んだ五機の飛行機。目の前で大きく旋回したかと思えば、大空に鮮やかな五輪の輪が描き出されました。

 雲一つない青空に描かれたその光景は、今も鮮明に思い出すことができます。目に焼き付いた幼き日の強烈な思い出、それが東京オリンピックの始まりでした。

 令和3年(2021)7月23日 世界中が注目する中、一年間の延期を経て東京オリンピックの開会式が予定されています。本来であれば日本中が沸き立ち、新しいヒーロー・ヒロインの誕生に一喜一憂する日々が続くことになるはず。コロナ禍の現在、これから先のことは誰にも予想することは出来ません。一日も早く平穏な日々が戻ることを願うばかりです。