第7回　スポーツを楽しむ軽井沢の家

GreenZone

東京都立工芸高等学校（定時制）　2学年

及川 弘貴

《講評》
ゴルフというスポーツは、この案にとっては、あまり重要ではない。そこが良いと思いました。屋外のランドスケープと屋内のランドスケープ、また、上下階を「空間のゆがみ」というテーマで自由にシームレスにつなげてゆく。そのことによって、それぞれの場所に、固有の特徴をあたえてゆく。地形を直接的に利用する案は、他にもいろいろありましたが、この案は「ゴルフ→ランドスケープ→空間のゆがみ」というような思考の抽象化がおこなわれており、そこに感心しました。建築を考えるときに、具体的で直接的なイメージを抽象化してゆくことは、とても重要なことです。そうすることで、設計する建物の用途からかけ離れたイメージがもつ特徴を、何かしらのかたちで、出来上がる建築に当てはめることができるのです。

記憶 そして道

東京都立工芸高等学校（定時制）　2学年

塩澤 菜生

《講評》
フリークライミングという競技の特徴と、住宅という建築的特徴をとても上手につなぎ合わせ、一つの解答を導いていると思います。建築の表面を道としてとらえ、あたらしい動線を住宅の中にはりめぐらせてゆくアイデアが、建築の形にも建築の表面にも特徴としてあらわれている。この作品は、どの作品にも増して、与えられた課題と、住宅としての役割を堅実にとらえようという姿勢がにじみでており、そのまじめさに惹かれました。今回の設計課題である「スポーツを楽しむ軽井沢の家」というテーマは、ある視点で見るととても特殊なものです。ぼくも一瞬、スポーツを家で楽しむって、どういうことだろう、という感じで、考えてしまいます。建築をつくるうえで、どんなに奇抜な条件でも、しっかりとした骨格をもった思考によって、かたちある建築にしていくことが設計者としての役割です。その条件に真剣に向き合えば向き合うほど、独自の解答にたどり着くのだと思います。その好例がこの作品だと感じました。