校舎は生きた教材中央工学校の考える“実務教育”とは

三五荘 四季折々に様々な表情を魅せる日本民家の一つの頂点

古(いにしえ)に学ぶ
三五荘

有名な四字熟語の中に「温故知新」という言葉があります。『故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る。以って師と為るべし。』という論語の一節からとられた言葉ですが、建築物の場合、先達の遺産から様々なことを学び取ろうと思っても、現存していなければ教材にはなりません。書物や写真などの資料からも多くのことを学ぶことはできますが、建築物は立体であり、環境そのものでもあるため、「風情(ふぜい)」や「佇(たたず)まい」といった微細なニュアンスまで感じ取るには、やはり実物に勝るものがありません。

ここに紹介する三五荘(さんごそう)は、かつて甲府の塩山(現在の山梨県甲州市)にあった約200年ほど前の豪農の家屋をここ軽井沢研修所に移築・改修した茅葺き屋根の建物です。建築当初の構造をそのまま残し、工事方法も当時を忠実に再現しました。現代では入手困難となった部材もふんだんに使用されているため、かつての日本建築の技術とそれを取り巻く文化を知る上での貴重な教材であり、国登録の有形文化財にもなっています。

たとえば中央工学校の木造建築科では、木造工法の大工や建築士を目指して勉強をしていますが、中には宮大工(みやだいく)のような伝統建築を目指す学生もいます。そんな彼らにとって、古(いにしえ)の建築物に触れながら伝統工法を学ぶ機会はとても貴重な経験となります。

※宮大工を目指す木造建築科の学生については以下のキャンパスニュースをご覧ください。

1967年(昭和42年)には当時の皇太子・皇太子妃殿下(現在の上皇・上皇后陛下)のご訪問をお受けし、2007年(平成19年)には国登録有形文化財にも指定されました。
ちなみに、三五荘の名は最初に移築・竣工したのが1935年(昭和10年)であったことに由来します。