紙を建材に見立てた、ある日の実験[インテリアデザイン科2年]

インテリアデザイン科2年生の授業「インテリア材料」について紹介します。「よみもの記事」なので文章多いっデス!!

◆古紙で学ぶことはできるのか📜!?

空間を彩るということは、ただ美しさを加えることではありません。空間にどんな素材があり、どのように組み合わされ、何を支えているのか…
私たちが普段、何気なく目にしている床や壁、そのひとつひとつには、選び抜かれた材料と設計者の思考が静かに息づいているハズだ…インテリアデザインを志す学生たちは、机上で知識を蓄えるだけでなく、手を動かし、目で確かめ、身体で感じながら、素材という“言語(ランゲージ)”を学んでいきます……その一環として行われた…とある授業。

なぞの3人組が4グループ。

 教室の一角では、学生たちが真剣な眼差しで紙を折り、積み、何やら“塔(タワー)”を築いています。A4の古紙を積み重ね、試行錯誤する学生たち。一見遊びのように見えますが…ここには、深く静かな学びの時間が流れているようです…

◆紙を、素材として見立てるのか!?🕌

 使用するのは、ごくありふれたA4古紙。折る、曲げる、丸める──加工の自由度が高く、なおかつ限られた枚数しか使えない。与えられた条件の中で、どれだけ高く、どれだけ安定したタワーを築くことができるかを、3人1組のチームで競います。制限時間は5分。時間が動き出す前、学生たちは古紙を手に、何度も実験を重ねます。
どのように折れば強度が出るのか。何枚を束ねれば自立するのか。素材に直接触れ、紙という「建材」の特性を手探りでつかもうとする……

◆計画と現実の狭間で🧐

 そして本番が始まると、教室の空気が一変します。打ち合わせた通りにいかない。慎重に積み上げたはずが、わずかな揺れで崩れる。「想定通りに立たない」という現実が、学生たちの目の前に突きつけられます。

 最初のラウンドで、身長ほどの高さまでタワーを立ち上げることができたのは、たった1チーム。他のチームは、途中で倒壊したり、そもそも形を保てなかったりと、思うように結果を出せませんでした。

彼ら彼女らの「学び」はここから…

失敗の中に、答えがある…成功にも重要な学びがみえる(ハズ)

ラウンド終了後、チームごとに反省会をおこないます。何がうまくいかなかったのか。
時間の使い方か、構造の弱さか、チーム内の連携か…。
そこに、担当教員からの助言が重ねられます。他のチームの成功例や工夫された構造が共有されると、学生たちの目がまた一段と輝きを…

「どうすれば、もっとよくできるか」

その問いが教室を包み込みます。

そして成長の第2ラウンド。
学生たちは、さっきまでの失敗から得た知見と、他者から得たヒントをもとに、改良された構造を試みます。
紙の使い方も洗練され、折り目ひとつにも意味が宿るようになっていきます。
(見た目には同じような紙の束でも、内側には学びの蓄積が込められていると思いたい)

結果として、複数のチームが「腰高」までの高さにタワーを安定して築くことに成功しました。

◆紙とチームワークとコミュニケーション🎙️

 このワークを通して学生たちが身につけたのは、単なる“遊びの成果”ではありません。素材が持つ構造的な強さ──たとえば、折り目がどれほど軸に影響を与えるのか。そして、限られた枚数で最大限の効果を引き出す“コスト感覚”。そして、自分の意思や相手の意見をとりまとめて1つの行為を行うチームワークとコミュにケーション。どれもが、将来の仕事の実務に関わる際に求められる視点であるのかもしれません。

 教室に立ち上がった紙の塔は、授業終了後、美しく片づけられました。儚い存在…けれど、その塔を築くために交わされた言葉や、指先の感触、時間との戦いの記憶は、学生たちの中に静かに残り続けてほしいと、授業担当教員は想うのだろう…

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