キャンパスニュース

2024.02.29 建築

夜間の学生に聞いてみました [学生インタビュー]

40年余り続けた週5日のフルタイムから、週3日の8時半から16時半までの勤務になり時間的な余裕ができましたので、予てより学んでみたいと思っていた「建築」の勉強のため中央工学校の夜間建築科に入学しました。

小学生のころ(国立代々木競技場をみて)建築をやってみたいと思っていたものの、全く別の経済学科に進み就職し、これまで金融機関と医療機関で主に業務システムの開発・導入・管理の仕事に携わっていました。
システムの仕事はモノ造り・維持・管理という点では「建築」と共通点はあるものの、まったく異なる分野の勉強をするので「基本からしっかりと、しかも実務に根差した学び」を得たいと考え、実学を重視し建築実務の経験に富んだ教師の方々から直接教えを受けられる中央工学校を選択しました。

夜間建築科は2年間の講義・実習で建築全般について学ぶことができる(卒業後、一級・二級建築士の受験できるレベルの)カリキュラムが組まれており、スケジュールはかなりタイト(90分×2コマ×週5日)でありますが、経験やノウハウに富んだ教師の方々から実務に根差した親身の指導が受けられる(入学前に聞いていた評判通りでした)ので、学生にヤル気さえあれば充分に習得が可能な内容になっていると思います。

 

建築の分野では(建築に限らずどの分野でも同じ?)、表面的ではなく基本からの確実な理解が必要となる学科が多くあります。中央工学校では、どの講義も、内容・教材共に工夫がなされており学生にとって学科の理解を進めるのに大いに役立っています。その中で私にとって特に印象深い学科を以下ご紹介したいと思います。

(1)構造力学:講義は、「教科書を使い基本事項の解説+練習問題を解くこと」の組み合わせ。講師の先生(昼間は構造系の事務所にご勤務)の解説の後に、ご自身で作成されたプリント(練習問題とその解答<建築士試験範囲をカバー。解答の計算過程は省略することなく順番に丁寧に記述されており家での独習が可能>)で演習を実施。

(2)建築法規:講義は、「教科書+講師の先生の資料(昼間は国内・海外の建築設計を手掛ける設計事務所にご勤務の先生が設計者の立場からの法規理解の観点も入れ毎回作成:通称「おさらいシート」)+演習問題<講義項目に対応する先生作成の建築士試験用の問題>」の解説・演習の組み合わせ。「おさらいシート」の復習でより確実な理解ができる。

(3)建築施工・建築積算:講義は、「教科書+講師の先生(昼間は設計監理事務所主宰)が作成された資料(建築現場の図やイラストを示し理解を促進)+現場のスライド・動画+建築部材の模型等+演習問題」を駆使した内容。机上学習のレベルを超えた理解ができる。

(4)CAD/BIM演習:実務でCAD・BIMに通暁した講師の先生方々による、業界標準システムのAutoCAD(1年次)・Revit(2年次)を用いての「住吉の長屋」、「ファンズワース邸」等の図面を作成演習。CADやBIMを用いて実際に図面作成ができるようになる。

(5)建築士(試験受験のための)設計製図:地方公共団体の建築部門で長年にわたり発注者として建築実務に携わると共に建築士試験の採点委員を務められた講師の先生による、建築士試験製図の「要点」(例えば、構造や施工の実際を理解した上で図面を描くこと等々)や「準備の取組み方」(解答演習30枚以上で漸く合格ライン等)の演習・解説の講義を受け、漠然としていた建築士試験合格への道筋が初めて見えてきたように思いました。

(6)設計製図:1年次‐木造軸組工法にも通暁された講師(設計監理事務所主宰)の先生による設計・製図指導を受け、木造軸組工法で住宅を設計、必要図面を作成。
2年次前期‐設計施工管理会社を主宰される講師の先生から実務に根差した指導を受け、施工に際して必須となる「基礎躯体図・立上躯体図・平面詳細図」を学習。

(7)卒業設計:2年次後期は、公共建築も手掛ける意匠設計事務所で設計実務をされる講師の先生の丁寧な対面直接指導のもと、示されたテーマ(今年度は王子飛鳥山公園の任意の場所にアートセンターをつくること)に適合したRC造又はS造の建物を、自身で構想・設計して必要な図面と模型を作成、加えて構想した建物についての顧客プレゼンのための資料の作成が卒業課題。建築実務に将来携わるにあたり必須な事柄について、自ら考え・実際に手を動かし必要なマテリアルを作成することで「建築設計の取組方」を一から学ぶことができる。

何れの講義も建築実務経験・ノウハウが豊富な講師陣から、内容に工夫を凝らした資料やビジュアル教材を用いての直接的な指導を受けることができるため、全く初めての内容もしっかりと理解でき、2年間で建築全般について習得が可能(夜学のため講義は濃縮されており、通学途上や週末の時間を活用した講義の補足がポイント)と思っております。

中央工学校は、学生のみならず社会人が働きながら学ぶのにも最適な学校ではないかと考えております。卒業後は建築士資格を目指し、取得後に建築事務所で設計・監理の仕事に従事し、新しい道で研鑽を積んでいきたいと思っております。